命・暮らし願いかなう都政を 都知事選都政への願い/品川区 池戸アキコさん、高輪築堤の保存を求める 東海林次男さん〈2023年12月31日・2024年1月7日合併号〉
2024年は都知事選(6月20日告示、7月7日投票)がある年です。都政史上最高の都税収入が続いているのに、お金の使い方は都民の暮らしには冷たく、大企業のもうけにつながる事業には手厚い小池百合子都政の“経済界ファースト”の姿勢が、暮らし、営業、環境など、あらゆる分野で都民を苦しめています。一方、「政治とカネ」問題で政治不信が高まる中、「都民に寄り添う都政に変えよう」との声と運動は、かつてなく広がっています。今年は共同の力で都政を変える大きなチャンスです。都政に自身の願いを託す各分野の声を紹介します。
街破壊の道路計画は中止
品川区 池戸アキコさん
住民の反対が強かった東京都の都市計画道路は、美濃部都政で凍結されていましたが、1979年からの鈴木都政以降に復活していきました。
都が防災を理由に、補助29号線(品川~大田区、約3.5キロ)を特定整備路線候補として発表したのは2012年。東日本大震災の翌年です。被災地の復興にこそ力を入れなければいけない時に、開発に多額の税金を当てて事業に着手するという。これはただ事ではないと、危機感を覚えました。
都が事業認可申請を提出する前に行った住民説明会では、交通の円滑化についての説明はなく、「防災のため、東京五輪のため」と、強調しました。都議会で白石たみお都議が延焼遮断帯の防災効果について質問すると、根拠となる延焼シミュレーションが、具体的に行なわれていない事実が判明。現在も続いている補助29号線事業認可の取り消しを求める裁判でも、延焼遮断帯の効果は極めて小さいことが明らかになっています。
東急電鉄大井町線・戸越公園駅周辺は、「品川区まちづくりマスタープラン」の一環で市街地再開発事業が進み、高層ビルを建設中。戦後の焼け野原から地元の人たちの努力でつくり上げた商店街が破壊され、すでに廃業に追い込まれた人もいます。街づくりと言いながら、つぶす計画を平気で進めているのです。
都市計画道路を抜本的に見直し、子どもや高齢者にやさしい街づくりを望みます。
(特定整備路線・補助29号線事業認可取り消し裁判原告団長)
歴史や文化こそ大事に
高輪築堤の保存を求める 東海林次男さん
海上に築かれた日本初の鉄道遺構「高輪築堤」(港区)は2019年、JR東日本が進める「品川開発プロジェクト」計画エリア内で発見されました。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)が、破壊中止を求める警告(ヘリテージ・アラート)を発出しましたが、国が史跡に指定した延べ120メートルを現地保存、信号機土台部を移築保存するのみ。第一期工事区域で確認された築堤は、約900メートルです。わずか13%ほど残しただけで、世界遺産級の遺構が壊されました。
広い範囲で現地保存しなければ、全体的なイメージがつかめません。信号機の移築保存にしても、築堤のカーブ部分に存在してこそ、初めて意味を持つ。切り離し、点だけ残しても、信号の役割は可視化できないのです。長い距離を保存すれば、実際にレールの上を汽車が走ることもでき、それがひとつの観光資源になるでしょう。
第二期工事の対象となる5街区、6街区の計画は、まだ明らかにされていません。しかし、6街区辺りに、用地取得がまったくできていないにも関わらず、東京都市計画道路幹線街路環状4号線の橋脚だけが築造されました。住民の立ち退きは、これからという状況です。
都も国も企業も、自然や歴史を破壊する再開発ではなく、地域の成り立ちを大事にするべきです。
(東京都歴史教育者協議会副会長・高輪築堤の全面保存を求める会共同代表)
東京民報2023年12月31日・2024年1月7日合併号より