麻生太郎自民党副総裁が福岡県での講演で行った、上川陽子外相に対する発言が批判を呼んでいます▼麻生氏の発言は、「新たなスター、新しい人がそこそこ育ちつつある」と、上川氏の外相としての活動を評価する文脈で、「そんなに美しい方とは言わんけれども」などと述べたものです。人を容姿で差別したり偏見を持って評価する、典型的な「ルッキズム」に基づく発言です▼「(少子化は)子どもを産まなかった方が問題」「セクハラ罪という罪はない」…。数々の暴言を繰り返してきた麻生氏の、世間の人権意識からの大きな遅れを改めて露呈しました▼ジェンダー平等をめぐる話題は、アメリカの映画界でも起きています。米アカデミー賞で、昨年の大ヒット作となった「バービー」が、作品賞や助演男優賞など8部門にノミネートされたのに、監督賞と主演女優賞の候補にならず、疑問の声があがっています▼100年近い米アカデミー賞の歴史で、監督賞にノミネートされた女性はわずか7人、受賞者は3人といいます。バービー人形の世界を実写化し、「女らしさ」「男らしさ」に縛られる生きづらさと、多様性の大切さをテーマにした同作品をめぐる騒動が、現実世界におけるジェンダー平等の遅れを映し出しています。
東京民報2024年2月4日号より