生活破壊の道路見直せ 特定整備路線 全都連絡会が交流集会〈2024年5月26日号〉

 東京都が防災性の向上を名目に、2025年度までに全線整備を狙う都市計画道路「特定整備路線」(28路線・延べ約25キロ)の見直しを求める住民らによって10年前に結成された「特定整備路線全都連絡会」と、都市計画道路などに反対する都民がつくる「都市計画道路問題連絡会」は19日、「環境・生活破壊の道路はいらない」と題した8回目となる全都交流集会を、文京区内で開きました。

ハッピーロード大山のアーケード解体に反対する「コモディイイダ」の飯田社長=19日、文京区

全都連絡会代表世話人の多田康弘氏が、特定整備路線をめぐる運動や、裁判の状況を報告。補助26号線(板橋区・ハッピーロード大山)、補助29号線(品川区)、補助73号線(北区・十条)、補助86号線(北区・志茂1丁目)、補助86号線(北区・赤羽西)の5路線に関係する住民は、国や都を相手に行政訴訟を起こし、いずれも最高裁に上告しましたが、補助26号線以外はすでに棄却されています。

 多田氏は、「基本的人権、居住権、財産権などの権利を守るために、これからも皆さんと一緒に運動していきたい」と力を込めました。

 都市計画道路問題連絡会代表世話人の長谷川茂雄氏は、杉並区の岸本聡子区長のもとで改定された、同区都市計画マスタープランを紹介。都市計画道路補助132号線整備の記述に「住民との合意形成を図りつつ」という文言が入るなど、大きな動きが起きていることを説明しました。

地上げ部隊で土地買収加速か

 日本共産党の曽根はじめ都議は、特定整備路線をめぐる都の大きな動きとして、今年度から都の建設局用地部に63人で構成される「機動取得推進課」が、新たに設置されたことを報告。都は内容の詳細を発表していませんが、曽根都議は「集中的に道路の地権者に当たっていく、一点突破主義のようなやり方を考えていることはおおむね認めた」と説明。「(用地取得に)失敗すれば、都の特定整備路線を初めとする大型道路建設について、大きく挫折させることができる」として、退去を迫られている住民らと共にたたかう決意を示しました。

都有地が金もうけの材料に

 参加者の交流では、首都圏に86店舗を展開するスーパーマーケット「コモディイイダ」(本部・北区)の飯田武男代表取締役社長が、「大山問題を考える会」の活動を発表。補助26号線(延長375メートル)の延伸や、4棟の超高層ビルなどが建てられる大規模再開発で、壊滅的なダメージが危惧されるハッピーロード大山商店街に店舗を構える「コモディイイダ ハッピーロード大山店」は、昨年12月末までに立ち退きを迫られました。「都民、板橋区民の財産である都有地が、一部の地権者と大手デベロッパ―の金もうけのための材料に変わった。道路はいつできるのか分からない。まだ50%ほどしか土地の買収ができていないにも関わらず、商店街のアーケードを壊し出した」と憤慨。3月22日にアーケードの一部解体工事の中止を求める仮処分を申し立て、法廷で争っている状況などを語りました。

 都市計画道路の立川3・3・30号立川東大和線の見直しを求める「28m道路計画を考える立川市民の会」、「都市計画道路補助133号線に反対する会」、「庶民のまち十条を守る会」、「とめよう『外環の2』ねりまの会」、「補助26号線を考える会」、「道路問題しながわ連絡会」、「くらし・環境・歴史遺産を守る86号線(赤羽西)住民の会」、「志茂一保存会」の代表が、それぞれ現状報告。

「赤羽自然観察公園を100年の森に育てる会」は、自作の歌を披露しました。

東京民報2024年5月26日号より

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