
自・公都ファ 事故後も早期再開 共産党「即刻、工事断念を」
2020年10月、調布市の閑静な住宅街の道路で突然陥没事故が起き、続いて巨大な地下空洞が相次いで3カ所発見されるという、住民を震撼させる異常事態が起きました。原因は地下40㍍以深を掘り進む東京外かく環状道路(外環道)のトンネル工事でした。国やネクスコ東日本が推進し、当初1兆2800億円としていた事業費は、2兆3500億円に膨らんでいます。東京都も莫大な税金を投入してきました。

事故が起きたのは、外環道大泉ジャンクション(練馬区)と東名高速道路(世田谷区)を結ぶ区間約16㌔㍍をトンネルでつなぐ工事の最中で、地上に住む住民らは、それまで何度も振動やそれに伴う家屋の被害、猛毒の酸欠空気の漏出などを国と事業者に訴えていました。しかし国などは地下深く掘り進む工事なので影響はないとして、取り合いませんでした。
小池知事も議会で問われても「国などから安全が損なわれるような事態は発生していないと聞いている」と、国と事業者の説明をうのみにするだけで、外環道工事をひたすら推進してきました。
ところが事故は起きたのです。事故現場周辺の人たちは、住まいの安全が脅かされ、資産価値を損なわれ、人生設計が立たず、途方に暮れています。現場周辺だけではなく、練馬、杉並、武蔵野、三鷹、調布、狛江、世田谷の外環道工事沿線の多くの住民が不安と恐怖を感じています。
都には国と一体で外環道を推進してきた責任があります。ところが知事は、先の都議会定例会の所信表明で、事故に一言も触れませんでした。それどころか、陥没事故後に提出した国の予算編成に対する都の提案要求では、外環道事業の促進と東名高速以南の事業着手まで求めています。
都議会の各会派は、この問題に、どういう姿勢で臨んできたのでしょうか。
日本共産党は不要不急の大型開発で、税金の無駄遣いだとして一貫して反対してきました。住民からの振動や酸欠空気の漏出などへの不安の声を受け、現場を調査。専門家の意見も聞き工事の安全性に重大な疑問が生じていると指摘。徹底した調査や、工事の中止を繰り返し求めました。
事故後はネクスコ東日本によるずさんな調査や施工、情報隠し、住民との集団交渉にかたくなに応じない姿勢など、事業認可条件を満たしていないと指摘。都に対し外環道計画の「即刻断念」とともに、事業の認可延長を承認しないよう小池知事に求めています。
一方、自民党、公明党は歴代都政とともに外環道工事を推進。都民ファーストの会も推進の立場で一致しています。陥没事故後も、「安全安心に十分配慮」(自民党)、「原因の究明」(公明党)は口にするものの、3会派とも早期の工事再開、推進を小池知事に求めています。
【東京民報2021年4月25日号より】