〈一分 2月13日号〉「大富豪である私たちは、現在の税制が公平でないことを知っています」…
- 2022/2/16
- オピニオン連載
「大富豪である私たちは、現在の税制が公平でないことを知っています」▼アメリカとヨーロッパの大富豪102人が、1月に署名した公開書簡です。書簡はパンデミックのなかで多くの富裕層が富を増やしたことを指摘し、「今こそ、不平等に向き合い、金持ちに課税することを選ぶべきです」と提起しています▼来年度の東京都予算案が1月28日に発表され、一般会計の予算規模が過去最高になりました。背景にあるのが、今年度より5858億円、11.6%も増加した都税収入です▼大企業の本社などが多い東京都の税収は、法人関連の二つの税(法人二税)の割合が高くなります。ここからも、コロナ禍で、庶民や中小企業は深刻な影響を受ける一方で、IT関連など業績が好調な大手企業も多いことや、富裕層が資産を増加させていることがうかがえます▼富めるものはさらに豊かに、貧しいものの暮らしはさらに厳しくなる社会のなかで、重要なのが政治や行政の所得再分配の機能です。にもかかわらず、来年度予算案に盛り込まれたコロナ対策は、すでに実施しているものが多いなど、都政の対応は不十分。求められるのは、豊かな税収を生かして、コロナ禍であえぐ人々や業者にあたたかい手を差し伸べる姿勢です。
〈2022年2月13日号より〉