低い処遇、人手不足に 世界に例ない「女性の職場」〈2023年2月5日号〉 

 「スチュワーデス物語」など数々のドラマや映画に女性の憧れの仕事として描かれてきた客室乗務員。コロナ禍による減便の影響で、大幅な減給や他業種に出向を強いられるなどを経た現在の働き方の実態と問題点を見つめます。

コロナ禍 客室乗務員の現場は

 日本では昭和6年(1931年)にエアガールとして大空に羽ばいたのが初めです。海外ではライセンスが創設されるなど保安要員の専門職として確立され発展を遂げてきた一方、日本では呼び名は変われど「おもてなし」を中心とした就労内容となり、社のキャリア形成への積極的支援が薄いため長く働き続けることが難しくなっています。

 コロナ禍以降、政府の経済対策で乗客が戻ってきている航空業界。しかし、客室乗務員は「出向先の方が待遇・給与が良い」として航空会社に戻らずに出向先に就職するケースもあるといいます。客室乗務員の働く環境改善を求める客室乗務員連絡会(客乗連)事務局長の渡辺佳子さんは「私たちはサービスだけでなく、笑顔で保安任務も行います」と語ります。客席の案内中にも「体調の悪そうな人はいないか」とチェックする他、「手荷物を頭上の棚に納める際も落下防止や危険物の持ち込み」に細心の注意をしています。

 需要が戻りつつある現在、「急病人が増加傾向にあり救急要請が増えています。私たちは発熱されているお客様にもマスク1枚、至近距離での対応もします。感染のリスクと隣り合わせです」と渡辺さん。またマスク着用拒否や暴力的な行為など、乗客の安全阻害行為(航空法で禁止されている行為)も増加傾向だといいます。

 日本の航空各社における客室乗務員は9割以上が女性で世界的にも例をみない女性の職場。これはエールフランスが3人に1人が男性、オーストラリアのカンタス航空では男女が半々ということから見ても低く、ハイジャックや安全阻害行為の抑制効果にも影響を及ぼすのだといいます。ジェンダー法の専門家も警鐘を鳴らしています。

 契約制が導入されたり、年々乗務手当が削減されてきた背景には女性の仕事とされてきたことがあります。新人客室乗務員の乗務手当は日本航空で1時間あたり700円、全日空で500円、若い客室乗務員は基本給も少なく、「ワーキングプアです。寮でも生活が苦しく、親に援助してもらっています」と嘆く人もいます。コロナ禍で乗務がほとんどない時は羽田空港近くで家賃を払うと数万円しか手元に残らない給与額になり、「任務と給与が見合わない」として退職を選ぶ客室乗務員も少なくありません。各社、人員不足になっており、有給休暇を返上して乗務する人を募集するという異常事態が生じています。

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