開発に伴う森林の伐採や水田・畑の減少、干潟の埋め立てで、野生生物が絶滅し、生き残った生物も絶滅危惧種として心配されています。野生生物の現状を知り、どうしたら守れるかを知るための資料として「東京都レッドデータブック2023」(写真)が今年3月完成し、活用が期待されています。研究者や自然観察者などの協力で都環境局環境部がまとめました。
本書に掲載されている絶滅危惧種は、1846種。1988年1303種から543種も増えています。
東京になじみのある動植物では、牧野富太郎博士が江戸川沿いの用水池で発見したムジナモは都内の自生地すべてで消滅し、栽培で生き残っているだけです。
トウキョウと名のついたサンショウウオ、ダルマガエル、トラカミキリなども心配な生物です。かつては身近に見られたハマグリやミナミメダカ、ドジョウ、ヒバリなどが希少な生物にあげられています。
本書は、それぞれの生物の生息場所を区部と、北多摩、南多摩、西多摩の4地域に分けて、現状の危惧の度合いを分析。それぞれの①種の特性や生息状況②生存を脅かす原因③特記事項-の3点について解説しています。掲載した1846種の写真はオールカラー。A4判で879ページの大型の本です。持ち歩くには不便とはいえ、野生生物を知るにはなくてはならない本です。価格が高いので各市区の図書館や学校図書館で読めることも求められます。(松橋隆司)
東京民報2023年8月27日号より