「私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色ではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢が」▼黒人の権利拡大を求める公民権運動の指導者キング牧師による有名な演説の一節です。牧師が、この演説を行ったワシントン大行進から8月28日で60周年を迎え、26日には集会が開かれました▼「私には夢がある」と繰り返して、人種差別のなくなった未来への「夢」を語った後半部分が有名な演説には、厳しい差別の実態を告発した前半部があります。牧師は、リンカーンの奴隷解放宣言から100年を経た当時も、黒人たちが差別と貧困のなかに置かれ、基本的な権利も与えられず、警察などの不当な暴力の犠牲になっている現実を語りました▼26日の集会には、牧師の長男も参加して、「今こそ民主主義を維持し、広げなくてはならない」と語りました。警官による黒人の殺害など、60年を経た現在も変わらない現実がある一方、集会には人種や宗教、ジェンダーなどさまざまな分野の団体も参加しています▼「我々は、一人で歩くことはできない。そして、歩くからには、前進あるのみと表明しなければならない」-キング牧師の演説の言葉の通り、「夢」への行進は現在も続いています。
東京民報2023年8月27日号より