対策及び腰の政治変えよう 共産党都委 PFASシンポを開催〈2023年9月3日号〉

 日本共産党都委員会は8月24日、多摩地域を中心に、広範に深刻な汚染が見つかっている有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)をめぐって、調査の現状や、今後の対策を考えるシンポジウムを開きました。専門家が最新の知見を報告するとともに、国会議員、都議、運動関係者らが話し合いました。

パネル討論で発言する根木山氏。映像右は原田氏=8月24 日、府中市

 田村智子同党副委員長・参院議員(衆院比例東京予定候補)は開会にあたり、「日本政府は、健康への影響は確定的な知見がないとして、幅広い調査や、汚染源特定に踏み込んでいない。汚染の原因究明や、問題の本質的な解明、今後の対応の基本などを学び合うとともに、日本共産党の国会、地方議会での論戦を紹介し、今後の運動を展望したい」とあいさつしました。

 第一部では、多摩地域や全国各地での住民の自主的な血液検査に協力してきた原田浩二・京都大学准教授が、PFASがどういう物質かや、世界的に規制強化が進んでいる現状、多摩地域での血液検査の結果などについて報告。「都の水道以外の、専用水道や井戸水の汚染など、調査が進んでいない問題がある。(PFASを含む泡消火剤を使用してきた)横田基地の汚染がどれだけ影響しているのかも含め、全体的な調査と、健康リスクを減らす対応が必要だ」と提起しました。

 続いて、宮本徹衆院議員が、国会での論戦について(別項)、尾崎あや子都議が都議会での論戦について、紹介しました。尾崎都議は、小池百合子都知事の実態解明に後ろ向きな姿勢を告発するとともに、▽全都の水質調査の前倒し実施▽都による相談窓口設置▽都による国への緊急要望▽横田基地での漏出について、都と周辺自治体が情報提供の遅れを「極めて遺憾」と国に要請したこと-の4点にわたって、都民の世論の高まり、議会論戦により前進が切り開かれてきたと強調しました。

子どもの未来かかった問題

 第二部は、パネル討論で、原田准教授と、住民の運動団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」の根木山幸夫共同代表、山添拓参院議員、斉藤まりこ都議が、参加者の質問に答えながら語り合いました。

 根木山氏は、会が自主的な血液検査に取り組んできた経緯を紹介し、「国や都によるもっと大規模な血液検査や地下水汚染の調査、住民が誇りにしてきた井戸水を飲めるようにする対策が必要だ。そのためにも、横田基地への立ち入り調査はぜひ住民の力で実現したい」と指摘。「30年、50年先の子どもたちの未来がかかった問題として、力を合わせて頑張りたい」と呼びかけ、大きな拍手が起こりました。

 原田氏に、「活性炭による浄水器の効果は」「野菜への影響は」「献血をしても大丈夫か」などの質問が寄せられ、一つひとつに答えました。

 アメリカがPFASをめぐる飲料水の基準を大幅に厳しくしようとしていることを受けた日本の対応についての質問で原田氏は、「日本がどういう基準をつくるにしても、汚染源をしっかり調べて環境調査をすることが、必ず必要になる」と指摘しました。

 山添氏は、「PFASがこれだけ広範に使われたのは、大企業のもうけになるからだ。また、多摩地域の汚染については、明らかな汚染源の一つとして、横田基地がある。こうした問題の解明に、及び腰の日本の政治そのものを変える必要がある」と強調しました。

 司会は、坂井和歌子・衆院東京比例予定候補が務めました。シンポジウムの映像は、日本共産党都委員会のユーチューブチャンネルで。

日米関係のゆがみ正せ 宮本徹衆院議員が報告

国会での論戦を報告する宮本氏

 宮本徹衆院議員は、日本共産党のPFAS問題をめぐる国会論戦について、報告しました。

 2001年以降、日本共産党国会議員団がPFAS問題を取り上げた質疑は、2003年に、岩佐恵美衆院議員(当時)が、人や生物への影響の調査と対策を求めるなど、質問主意書を含めて40回あるといいます。

 宮本氏は、命と健康を守るために▽PFASにこれ以上、曝露しない対策▽すでに多くの人が曝露しているもとで、健康を守る対策▽汚染源を特定し、汚染者負担原則で責任を取らせる-の3点を提起しました。

 このうち、曝露をさせない対策については、日本が現在の基準をつくる際に参考にしたアメリカで、EPA(環境保護庁)が従来の基準を大幅に厳しくしようとしていることに触れ、「日本もEPA並みの規制値を早急につくる必要がある」と語りました。

 また、すでに曝露した人への対応については、アメリカの科学アカデミーが、血液検査で一定の基準を超える濃度が検出された人には、腎臓がんなどの疾患をチェックするよう求めていることを紹介。「こうした対応は日本にも必要だ。健康診断に取り入れるなど、早期発見早期治療できる対応を」と求めました。

 汚染源の特定については、横田基地について、すでにPFAS漏出の事故が明らかになっていることを指摘。そのうえで「日米関係の大きなゆがみがある」として、沖縄の嘉手納基地では、県が立ち入り調査を求めても、いまだに実現していないことを紹介し、ドイツやベルギーなどで実現しているのと同様に、政府や地元自治体の判断で、立ち入り調査が実現する仕組みに、日米地位協定の抜本的な改定が必要だと提起しました。

東京民報2023年9月3日号より

関連記事

最近の記事

  1. インスタライブで語り合うeriさん(左)と田村さん=4月18日  日本共産党の田村智子委員長…
  2.  めぐろ被災者を支援する会は6月30日まで、控訴費用などを求めるクラウドファンディングを行っていま…
  3. 共同街宣で酒井候補らと共に訴える田村氏=4月16日、江東区  公職選挙法違反事件(買収等)で…
  4.  目黒区長選は4月21日投開票され、「みんなの目黒区長をつくる会」の前都議、西崎翔(つばさ)氏(4…
  5. 1面2面3面4面5面6面 【1面】 余暇と遊びは基本的権利 子どもの権利条約 批准から3…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る