公立中学の全3年生を対象に行う英語スピーキングテスト(ESAT‐J)の11月26日の実施を前に、「都立高校入試へのスピーキングテストの導入中止を求める会」は3日、同テストを都立高校の入試に活用しないよう求める街頭宣伝を新宿駅西口で行いました。保護者や教員、超党派でつくる都議会議連の都議ら約30人が参加し、帰宅する駅利用者らにアピールしました。

同テストは昨年度、教育関係者や保護者らの反対の声を無視して東京都教育委員会がベネッセに委託して実施。回答に影響する音漏れや採点の問題など、公平・公正性や情報公開、個人情報の保護など様々な問題が指摘されているのに、改善策が示さないまま今年度も実施されます。ただ、都民の批判が強まる中、ベネッセは今年度限りで撤退し、来年度からは英国の国際文化交流機関が実施する予定です。
「入試改革を考える会」代表の大内裕和・武蔵大学教授は、同テストの不受験者が他の受験者の得点に依拠して見込み点が与えられて合否が決まる問題について指摘。「入試として成り立たない」と訴えました。
昨年の受験生の保護者は「1点のために一生懸命に勉強している子どもたちがいるのに、実力が正しく反映されないテストだということは昨年実施して分かっている。必死に勉強している子どもたちの未来を守りましょう」、今年息子が受験する母親は「テストの結果によっては志望校が落ちるかもしれないと塾などの対策が必要で、お金もかかる。それなのに受験していない中学生と順位が入れ替わるかもしれないなんて、入試としてあり得ない。都教委はやめる決断をすべきです。それが親としての願いです」と訴えました。
議連副会長のアオヤギ有希子都議は「ベネッセが撤退したこと自体、破綻したことの現れ。公平公正に実施できないテストの入試活用中止へ声をあげよう」と呼びかけました。
立憲民主党、ミライ会議、グリーンな東京、生活ネットの各都議も訴えました。
中止を求める会では、都立高校入試への活用中止とともに、昨年度の実施状況の調査と結果公表を求める新たな請願署名に取り組んでいます。
東京民報2023年10月15日号より