英スピテスト 「音漏れ何も対策ない」入試活用中止を訴え〈2023年11月19日号〉

 東京都教育委員会が中学3年生を対象に11月26日に実施する英語スピーキングテスト(ESAT‐J)をめぐり、「入試改革を考える会」の大内裕和代表(武蔵大学教授)らは6日、都庁で記者会見を開き、昨年初めて入試に活用された同テストで指摘された、音漏れや不受験者の扱いなどの問題について「何も対策がなされていない」として、同テストを都立高校の入試に活用しないよう訴えました。

記者会見する大内氏=6日、新宿区

大内氏ら記者会見

 テストは都内の公立中学3年生約8万人を対象に実施し、結果は都立高入試の合否判定に活用されます。テストでは防音用のイヤーマフを着用し、タブレット端末に解答音声を録音します。昨年運営を担ったベネッセが今回で撤退し、来年度から英国の国際交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が引き継ぎます。都教委は今年度から対象を中学1・2年生にも拡大し、同機関と契約。来年から全学年を担います。都は予算35億円を計上しています。

 大内氏らの調査で昨年の受験生から「端末に他の受験生の声が録音されていた」「他の受験生の回答する声が聞こえてきて集中しにくかった」など多数の証言が寄せられました。都教委が今年9月にイヤーマフの装着方法を説明する文書を中学3年生に配布したとしていることに対し、「正しく装着しても他人の声が聞こえたという証言の確認作業をしていない」と指摘し、「対応が不十分だ」と断じました。

 解答の録音音声をめぐっては、開示要求によって公開された音声の約3分の2が無音で、残りも聞き取れないものでした。大内氏は都が「他の生徒の声が分からないように加工したものしか開示できない」と説明したことを問題視。「ダブレット端末に他の生徒の音声も一緒に録音されていたことは確実となった。生徒の証言の正しさを示している」とし、「生徒本人の音声を正しく採点されたのか疑問が深まった」と述べました。  

 大内氏はベネッセが撤退した理由について、事業者も都教委も明らかにしていないことに「私企業ではあるが、都立高入試という公共性の高い事業に関わってきた。説明責任が求められる」と強調。「公平性・公正性に反することに加え、透明性、信頼性も欠けている」と述べ、「都立高入試に活用すべきでない」と訴えました。

東京民報2023年11月19日号より

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