被災地の苦しみを知って 苦難解決が政治の役割 〈3月14日号より〉

 2011年の東日本大震災から、3月11日で10年を迎えるなか、2月28日、被災地の現在を考えようというイベントが、大田区萩中のギャラリー結で開かれました。

 「私はランドセル。あいちゃんが、6年間使ったランドセル。あの日、あいちゃんが、おじいちゃんとおばあちゃんに連れられて避難所へ行った日から、私はずっとソファーの上で帰りを待っています」

 写真絵本「私はあいちゃんのランドセル」をつくった写真家の菊池和子さんが、ピアノに合わせて同書を朗読します。

 菊池さんは、東日本大震災の被災地に通い続け、写真集や本にまとめてきました。

 「原発が60基もある日本の現状を多くの世代に考えてほしい」と、15枚の福島の写真と、そこに写った「もの」の一人語りでつくった写真絵本が同書です。

写真絵本を朗読する菊池さん=2月28日、大田区

 「ぼくは黒い袋」という言葉で始まるのは、除染された土や砂を入れたフレコンバッグの独り言。 「江戸時代から冷害に苦しむ地域で、代々、必死につくりあげた田や畑の土が、ゴミとして捨てられる。農家の人たちは、どんな思いでしょうか」―菊池さんが訴えます。

 卒業式の日に震災が起こり学校に放置されて数年ぶりに弾かれたピアノ、震災で継承が難しくなった福島各地の伝統芸能の写真、取り壊された家の庭の桜、さまざまな「もの」たちの言葉が福島で起きたことを伝えます。

 イベントの後半は、菊池さんが10年を迎える帰還困難地域で撮った写真を紹介しました。

 ギャラリー結の石井恵美子さんは福島出身で、ギャラリーの一角でバザーを開き、売り上げを毎年、福島に届けています。「いまだ苦しみのふちにいる、福島や被災地のことを多くの人に知ってほしい」とあいさつしました。

(東京民報2021年3月14日号より)

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