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大塚大勝軒 暴力が横行する店内 スタンガン当てさせ制裁も
- 2022/2/6
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- 豊島
つけ麵ブームを牽引しテレビにも度々登場する有名ラーメン店「大塚大勝軒」の元店長の男性(26歳)が、同店他5店舗を運営する大勝軒TOKYO(本社・豊島区)の田内川真介社長からパワーハラスメントを受けていたとして、慰謝料と未払い残業代を求めた訴訟の第1回口頭弁論が1月21日、東京地裁(青野卓也裁判長)で行われました。元店長が約1070万円を求めているのに対して、田内川社長側は請求棄却を求めています。

元店長がパワハラ告発
元店長は法廷で「店内は暴力による支配が行われていた。暴力、暴言にあふれていた」と言葉を詰まらせながら証言。「まだ、理不尽な扱いを受けている人たちも救われて欲しい」と、パワハラ被害者救済を訴えました。
元店長は大学時代に大勝軒TOKYOの運営する別の店舗でアルバイトをしていたのが田内川社長との出会いでした。社長から夜中に自宅に呼びつけられることもありました。卒業後は同社への「就職は考えていなかったし、周囲からやめたほうがいい」と言われたと言います。しかし、田内川社長が「お前はうちに就職する」と一方的に言い張り、なかば強引に就職と寮を決められました。
元店長は週6日勤務で午前10時から午後11時までの長時間労働を強いられるだけでなく、月に2
回は他店に卸すスープの仕込みのために翌朝4時まで勤務。残業代は支払われず、月給は当初
19万5000円で、寮費や損害金などが天引きされると手元に残る金額は平均的な労働者と比較し
ても低いものでした。
客も目撃繰り返す暴行
店内では田内川社長の暴力が日常化していました。内容は凄惨なもので、怒鳴る、タオルを投げつける、熱湯をかける、蹴るは当たり前のことで、特定の従業員に執拗にパワハラ行為に及び、当事者が精神的に病んだこともありました。こうしたパワハラ行為は来客の目の前で行われたこともあ
りました。
さらにミスをした従業員に、地域によっては条例で規制のあるスタンガン(電気ショック銃)を自ら当てさせ、スイッチを入れさせるという残虐行為を強要したといいます。
職場に希望を見いだせなくなった従業員が退職を申し出ると「この店をどうするんだ」と恫喝し、退職を認めませんでした。「やっていけない」と出勤できなくなった社員の自宅を監視し、インターネットも駆使して探し出し、店に連れ戻すこともありました。「何をされるかわからない」「逃げられない」と絶望に襲われたと元店長は語ります。
問われる業界のモラル
元店長は転居とともに逃げるようにして会社を離れた後に、飲食店ユニオンに加入。残業代と慰謝料を求める団体交渉を申し入れました。
しかし、団体交渉の場には会社側の弁護士だけが田内川社長の聞き取りも不十分なまま出席し、誠実に向き合わないことから、今回の裁判に踏み切ったとユニオンは主張します。
弁護団は「田内川社長側は店長を管理監督者と主張し、全面棄却を求めているが事実ではない」として、実態は雇われ店長であり実権は社長が握っていると語っています。
元店長は「今でも思い出すと苦しくなることもある。自分だけが助かればいいのではなく、今も苦しむ人が助かって欲しい」と訴えます。
また、神田カレーグランプリでお茶の水大勝軒は大賞を受賞していますが、田内川社長が従業員に不正行為を強要したことについても訴状に記されており、「飲食店業界のモラルが問われ、体質改善が喫緊の課題だ」と関係者は話しています。
(2022年2月6日号より)