【 #Web東京民報 連載】東京わがまち⑯ 梅雨
- 2022/6/13
- WEB版連載

上野の森は芸術の森。動物園の先から寛永寺にかけて、博物館に美術館、国際子ども図書館に煉瓦造りの芸大校舎、木造の奏楽堂など多種多彩な美術、音楽、文化施設がこの森に集まっている。
都美術館の窓からは、梅雨の到来でいっそう青々とした樹木、煉瓦造りの上野動物園の旧正門が見える。あたりは、静けさに満ち、雨音と鳥のさえずりしか聞こえない。いつもは元気いっぱいの子どもたちの姿も、雨で人影は無い。雨脚の増した道を、楽器を肩に赤い傘をさした学生が、旧東京音楽学校の奏楽堂の方へゆっくりと歩いて行った。
私の頭の中で、雨をテーマにしたさまざまな楽曲が浮かんでは消えた。
写真・文 夏目安男
〈東京民報 2015年6月21日号より〉
※WEB版追記 写真家の夏目安男さんは2021年12月に亡くなりました。ご遺族の許可を得て、東京民報での連載「わがまち東京」をWeb版連載として掲載します