敵基地攻撃能力「先制攻撃」で日本が戦場に 自由法曹団東京支部長 野澤裕昭さんに聞く〈2023年1月22日号〉
- 2023/1/22
- 平和
岸田内閣は12月に閣議決定した安保関連3文書に、「反撃能力」の名で敵基地攻撃能力を持つことを明記しました。全国の弁護士でつくる自由法曹団の東京支部は、東京選出の衆参全ての国会議員あてに敵基地攻撃能力に関するアンケートを送りました。結果について同支部長で弁護士の、野澤裕昭さんに聞きました。
―アンケートに取り組んだきっかけは。
東京支部は今年、結成50周年を迎えます。秋に記念集会を予定しており、核兵器禁止条約の成立でノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の、川崎哲さんに講演してもらう予定です。
川崎さんの本を読むと、日本政府はアメリカのオバマ政権が核兵器の先制不使用を宣言しようとしたとき、これに反対し、そのためオバマ政権は宣言を断念したことが紹介されていました。先制不使用宣言をすれば抑止力が低下するというのがその理由でした。
敵基地攻撃能力をめぐって、岸田政権は先制攻撃はしないと説明しています。しかし、核兵器の先制不使用宣言に反対する政府が、敵基地攻撃では先制攻撃はしないといっても、どれだけ信頼できるのか大いに疑問です。そこで、アンケートでは敵基地攻撃で先制攻撃はしないという宣言をすることに賛成かどうか問うことにしたのです
全国会議員へとアンケート送付
―結果はどのようなものでしょうか。
東京選出の衆院41人、参院12人の全国会議員にアンケートを送りました。日本共産党の4人の全議員と、れいわ新選組の山本太郎氏、社民党の福島瑞穂氏、立憲民主党の吉田はるみ氏から回答がありました。
回答のあったすべての議員が、「『敵基地攻撃』は先制攻撃にほかならない。憲法違反であり反対」(日本共産党・笠井亮衆院議員)など、敵基地攻撃能力の保有に反対の立場を表明しています。
自民、公明両党の議員からは、まったく回答がありませんでした。アンケートで先制攻撃を否定できないのは、実際はありうるのだということを、示した結果だと思います。
立憲民主党から1人しか回答がなかったことは、残念でした。憲法や民主主義にかかわる大問題で、もっとしっかりと反対の意思を表明してほしかったと感じます。