9条輝かす日本こそ 東京大空襲 78年目の追悼集会〈2023年3月19日号〉

追悼碑を前に自身の体験を話す鷲山さん=10日、台東区

 一晩で10万人以上が亡くなった1945年の東京大空襲から78年を迎えた10日、犠牲者の追悼集会が台東区の隅田公園内、言問橋のたもとにある追悼碑前で開かれました。東京大空襲犠牲者追悼・記念資料展実行委員会が主催し、同区が共催しているものです。

 川杉元延実行委員長はあいさつで、「言問橋には、多くの人が集まり、両岸にひしめきあった。人々が折り重なるように焼死した。熱さを逃れて冷たい水に飛び込んで、亡くなる人も多かった」と紹介。「各地で家族に会えずに亡くなり、仮埋葬された人も数万人にのぼった。そうした犠牲者を追悼するのが今日の集会です」と話しました。

 ロシアのウクライナ侵略に触れ、「軍事対軍事では平和はつくれない。憲法9条を輝かせることこそ、私たちの願い。戦争の惨禍を風化させず、平和の大切さを訴え続けていく」と決意を語りました。

 参列した日本共産党の小池晃書記局長・参院議員は、東京大空襲の体験者をオーストラリア人監督が追ったドキュメンタリー映画『ペーパーシティ』が公開されたことに触れ、「監督は、東京に大空襲の痕跡がほとんどないことに疑問を感じ、映画をつくったといいます。複雑な思いです。(空襲の被害を伝える)平和祈念館を東京に早くつくる事が必要です」と強調。また、空襲被害者の救済法案を超党派の議員連盟がまとめていることに触れ、「早期に実現させることが求められている」と訴えました。

 小池氏は、岸田政権が進める敵基地攻撃能力の保有の動きについて、「新しい戦前にさせてはならない。東京大空襲のようなことを二度と起こさせないため、みなさんと力を尽くしていきましょう」と呼びかけました。

 12歳の時に大空襲を体験した鷲山洋子さん(90)が証言。卒業と中学入学を前に疎開先から東京に帰っていた鷲山さんは、母親と兄弟の5人で家を出たものの、火災の強風で前に進めず、防空壕にも入れないまま、逃げ続けました。橋には落ちそうなほど人があふれ、デパートの窓という窓から火が噴き出す状況のなか、母親がバケツで水をすくって防空頭巾の上からかけてくれ、生き延びたと振り返りました。

 焼け野原を歩くとき、「電信柱が焼け焦げたような焼死体がいくつも横たわっています。母は私の防空頭巾の両端を押さえて、私がそれを見ないようにしてくれた」と語りました。

 鷲山さんは、ウクライナの現状に触れ「同じように民間人への攻撃が行われ、多くの子どもたちが心に深い傷を負っています。残酷な戦争が起きない、平和な世界になることを願っています」と証言を結びました。

 参加者は、黙とうするとともに、追悼碑に献花して、犠牲者を追悼しました。

東京民報2023年3月19日号より

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