街角の小さな旅32 昆虫の驚きの世界と館を支える人たち 虫の詩人の館と文学散歩

虫の詩人の館・ファーブル昆虫館

 虫の詩人の館・ファーブル昆虫館はJR田端駅から動坂をあがった先、千駄木の閑静な住宅街のなかにあります。

 昆虫という、もっとも小さいものの中に、最大の驚きがかくされている

 フランスの昆虫学者アンリ・ファーブルは南フランスの自然のなかに生息する虫たちを採取、研究、新しい発見を重ね、近代自然科学の分野に大きな足跡を残した研究者であり、詩人でもありました。

 その成果は10巻にも及ぶ「昆虫記」として遺されました。「昆虫記」は母国であるフランスではなかなか広まることはありませんでしたが、ファーブルの経済的困窮を救済するための「ファーブルの日」が1910年の4月3日に友人や弟子などの手で開催されたことで世界にファーブルの業績が知られることになったのです。

 日本ではファーブル死後からわずか7年後に、大逆事件で豊多摩刑務所に収監されていた社会主義者・大杉栄の手で翻訳され世に送り出されました。

 その後、「昆虫記」はファーブルの名とともにくり返し翻訳・発刊され、児童書としても親しまれて来ました。日本で「昆虫記」が広く読まれる理由について、「ファーブル昆虫記」(全8巻)を翻訳された奥本大三郎氏が「日本人が虫が好きな民族だから」と示唆されています。

 「昆虫館」はNPO 日本アンリ・ファーブル会が管理運営。昆虫観察&採集会・標本教室などが随時催されるとともに、土日の午後には会員の皆さんの手でドアが開かれ、展示見学が出来ます。

 展示室ではファーブルの直筆ノートや資料、オオクワガタなど「昆虫記」ゆかりの昆虫の標本などが所狭しと展示されています。また、地下にはフランス、サン・レオン村のファーブルの生家(現民族博物館)が復元されています。

 小さな館ですが昆虫の世界と館を支える若い人たちの輝く瞳に無限に広がる世界を感じました。

森鴎外記念館

 千駄木は文人ゆかりの土地でもあります。昆虫館の前の道を南に向かって歩みを進めると「智恵子抄」を書いた高村光太郎の旧居跡に出ます。また、この地は革命文学者宮本百合子が没したところ。実家の中條家のあずき色の門柱が遺されています。

関連記事

最近の記事

  1. インスタライブで語り合うeriさん(左)と田村さん=4月18日  日本共産党の田村智子委員長…
  2.  めぐろ被災者を支援する会は6月30日まで、控訴費用などを求めるクラウドファンディングを行っていま…
  3. 共同街宣で酒井候補らと共に訴える田村氏=4月16日、江東区  公職選挙法違反事件(買収等)で…
  4.  目黒区長選は4月21日投開票され、「みんなの目黒区長をつくる会」の前都議、西崎翔(つばさ)氏(4…
  5. 1面2面3面4面5面6面 【1面】 余暇と遊びは基本的権利 子どもの権利条約 批准から3…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る