国が2013~15年にかけて年金支給額を段階的に計2.5%削減したことは、憲法13条(幸福追求権)、25条(生存権)、29条(財産権)、社会権規約などに違反するとして年金減額処分の取り消しを求める年金引き下げ違憲訴訟東京原告団(507人)の第4回口頭弁論が6日、東京高等裁判所で開かれ、結審しました。原告が求めていた香取照幸元年金局長を証人として呼ぶ申請は、「必要性を認めない」とする裁判所の合議により却下。10月28日に判決が言い渡されます。
同訴訟は全国年金者組合が中心となり、2015年に44都道府県、39地裁で、原告5044人が国に対して一斉提訴。今年に入り、山梨、兵庫、福岡各県の原告団は高裁で敗訴し、すでに上告。年内に約10の原告団が最高裁判所でのたたかいになることを見込み、原告団は大法廷で審理し、統一した判断を示すことを最高裁に要請する署名活動を進めています。
閉廷後の報告集会で、同日に意見陳述を行った弁護団の加藤健次弁護士は、これまでに同訴訟で地裁と高裁が下した計44の判決は「主要部分が過去の最高裁判決の貼り付け」と指摘。明らかに事案が異なる1982年の堀木訴訟最高裁判決、1989年の塩見訴訟最高裁判決が引用されており、法廷では裁判所に対し、事実を踏まえ、正面から憲法判断するように求めました。
香取元年金局長の証人採用が却下されたことについて、「最も重要な立法経過に関する事実が明らかにされていない」と指摘。「国は経過を説明できないまま、皆さんの年金を減らした。そこを裁判所には理解してほしかった」と語りました。