
保険証の廃止が高齢者・障害者施設に与える影響は大きいとして全国保険医団体連合会(保団連)は、全国の特別養護老人ホームや老人保健施設を中心にアンケート調査を実施し、12日に記者会見を行いました。一方で政府は2024年秋に従来の健康保険証を実質廃止し、マイナンバーカードに情報の一元化を目論み、14日に衆議院本会議で法案が審議入りしました。
保団連による調査は3月末から4月上旬にかけて実施され、北海道から沖縄までの1219施設が回答。従来の保険証の廃止に59.2%が反対との結果を示しました。また入所(利用)者のマイナカードの申請の代理申請は93.5%が対応できないとし、その理由に▽本人の意思確認ができない▽手間・労力がかかる▽本来の業務でないーとの回答がありました。
七野会・特別養護老人ホームこぶしの里(京都府)の介山篤施設長は「家族の依頼で申請を行うにしても寝たきりの方の背景のない写真を撮るのは困難」だと語りました。代理申請に対して「行政からなんの周知もなく、さらにそのための給付などもない」として業務量の増加と併せて、さらなる離職者が増えることに懸念を表しました。
情報流出の恐れも
施設入所者の家族は緊急時や支給の手続きのために健康保険証や介護保険証を施設に預けることが多く、健康保険証が廃止になればマイナカードと暗証番号を施設に預けることになります。利用者本人はATMさえ利用ができない場合も多く自己管理はできません。これについて、アンケート調査では94%の施設が「管理できない」と回答しています。