
東日本大震災で被災し、宮城県から目黒区に避難していた女性(68)が、支援打ち切り後の家賃約800万円の賠償を区から請求されている裁判の第9回口頭弁論が10日、東京地裁(金澤秀樹裁判長)で開かれました。次回、女性側が求めてきた区の課長の証人尋問をすることが決まりました。
女性は災害救助法に基づいて、気仙沼市から紹介された友好都市の目黒区に、家賃19万2500円の区民住宅を応急仮設住宅としてあてがわれていました。しかし区は気仙沼市の支援の打ち切りを理由に2018年春、退去を迫りました。夫(2018年10月に死去)の看病のために転居が難しい事情の説明や、安価な区民住宅への応募もしましたが、区は女性の要望に耳を傾けないまま2021年に提訴しました。現在女性は知人宅に身を寄せています。
今回の口頭弁論で、被告側が求めていた提訴時の住宅課長の証人採用と被告人本人の尋問が認められました。次回の口頭弁論では、災害救助法に基づく生活支援や提訴に至るまでの間の被災者への相談支援などの対応が適切だったかの事実関係が争点となります。
裁判後に行われた集会で、山川幸生弁護士は「区が拒んできた課長の証人採用を裁判所が決定したのは大きな前進だ」と力を込めました。
集会には、日本共産党の岩崎史博目黒区議のほか、立憲民主党、れいわ新選組の区議も参加。岩崎区議は「(退去に賛成してしまった反省から)裁判を注視し、当時の議会運営を検証していく責務がある」と語りました。
橋本策也事務局長は、4月の区議選で提訴の決議に関与していない議員が3割になったことに触れ「請願、陳情など議会への働きかけを強め、解決を目指そう」と呼びかけました。
東京民報2023年5月21日号より