【コラム砂時計】「茶番劇」はもう終わった〈2026年1月11日号〉

 

 年末に合唱される「歓喜の歌」はベートーベンの作品「交響曲第9番」の一部として広く知られている。そのベートーベンが遺した言葉に「諸君、喝采を 喜劇は終わった」というのがある。

 彼は、肝硬変のため1827年、56歳で亡くなったが、死期を悟ってこの言葉を遺書にしたためた、とされている。26歳から30歳にかけて、音楽家としては致命的な難聴に苦しみ、オーケストラの指揮をするリハーサルで、何も聞こえていないことが分かった。(ロマン・ロラン作、新庄嘉章訳「苦悩の英雄 ベートーヴェンの生涯」)

 「第9」が「苦しみを乗り越えて喜びに至る」ことを表現しており、200年前の一言から大作曲家の生涯を垣間見ることができよう。

 格言や名言は、世に広く知られた人物が述べてこそ後世に語り継がれる。インターネット上には、この種の名言集が検索できるサイトがあり、成人式、入学・卒業式などでしばしば引用される。

 中には今、政界で繰り広げられていることに当てはまりそうなものがある。1979年にノーベル平和賞を受賞したカトリック教会の修道女・マザーテレサは語った。「言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから」。高市早苗首相の「台湾有事」発言は日本を再び戦争に引きずり込む現実的危機を招来しかねない。

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