【書評】真実を継承しよう 吉田裕監修『東京大空襲・戦災資料センター図録 いのちと平和のバトンを』

合同出版 1300円

 東京大空襲・戦災資料センター(江東区北砂)の今年3月の開館20周年を前に格好のガイドブックが10日、刊行されます。

 同館は、東京大空襲の惨状を未来に語り継ぎ、平和の研究と学習に役立つことを願って、市民の募金で設立された平和博物館です。こうした平和への取り組みは、空襲や戦争の体験者が少なくなり、次の世代に戦争体験をどう継承するのかが課題になっています。

 同館では、空襲の体験者をふくめ、若手の学芸員や戦争災害研究者、映像プロデューサーなどが4年にわたり、議論を積み重ねて、2020年に全面的に展示をリニューアルしました。

 本書は新しい展示内容にそって、同館所蔵の資料など200点余を収録したオールカラーA4判の図録です。

 新しい展示内容の特徴について、館長の吉田裕・一橋大学名誉教授が本書冒頭で紹介しています。それによると、東京大空襲を歴史的に位置づけ、戦災孤児や食糧難など戦後史の展示を充実したことをあげています。

 例えば、空襲は、飛行機が誕生した1903年の7年後にイタリア軍がリビアを空襲したのが最初。今は、ロシアがウクライナの都市を空襲しているのが現状。こうした世界の空襲の歴史の中に東京大空襲をとらえた展示になっています。また空襲の体験記や体験画を「映像資料」などと組み合わせ、日常生活からの空襲をとらえなおし、体験者の記憶と思いを生かす工夫もしています。

 本書の構成は①東京と世界の空襲②戦時下の日常③空襲の実相④空襲後の歩み―の4章立てです。

 ③で東京大空襲の犠牲者をみると、十代以下の子どもが39%と最も高く、生き残っても親や兄弟を失った人も多い。現在の空襲体験者はその当時の十代以下の人が中心になっています。その過酷な体験の継承が求められています。

 早乙女勝元名誉館長は本書に寄稿し「私たちは歴史の真実を継承する一人ひとりになろうではないか」と呼びかけています。

(松橋隆司・ライター)

(東京民報2022年3月13日号より)

関連記事

最近の記事

  1.  東京電力福島第一原発事故で被災し、国や東京電力に対して責任の明確化と損害賠償などを求めている全国…
  2. 記者会見でスピーキングテストの入試活用の中止を訴える保護者と英スピ議連の都議=11月24日、都庁 …
  3.  東京都は11月24日、2023年度の国民健康保険料について、国の仮係数を受けて一般会計から独自繰…
  4.  東京都交通局は11月25日、都営大江戸線に女性専用車を来年1月18日から導入すると発表しました。…
  5. 京王電鉄に要請内容を伝える参加者=11月18 日、多摩市 日本共産党の吉良よし子参院議員と米…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

ページ上部へ戻る