【書評】歴史が語る差別撤廃の軌跡 『ジェンダー視点で学ぶ女性史』 澤田季江 著

 人類社会が一人ひとりを大切にし、真に自由な社会となるためには、ジェンダー平等が不可欠です。そのことを実社会で勝ち取るためには、これまでの差別撤廃の歴史を学び、さらなる闘いが必要です。

 本書は、男女の差別のない平等な社会だった人類のあけぼのから、差別がつくられていく幕末までの歴史、明治時代以降、資本主義のもとでつくられたジェンダー規範、今日における女性差別撤廃条約への胎動などの歴史が分かりやすく語られています。

日本機関紙出版センター 2021年 1300円+税 さわだ・としえ 1966年生まれ。千葉県出身・京都市在住。新日本婦人の会 京都府本部・事務局長

 幕末、大塩平八郎の乱が起きた頃、男装して男として生きていた24歳のたけ(竹次郎)、倒幕運動に協力した歌人の野村望東尼(もとに)、自由民権運動で活躍した岸田俊子や景山(福田)英子、婦人参政権を求めて闘った平塚らいてうなど、歴史の中で格闘し、活躍したたくましい女性たちの姿を、個人名も明記して生き生きと描いています。

 日本の歴史だけでなく、女性解放思想の萌芽となった世界の女性たちの闘いの軌跡も描いています。

 フランス革命の限界をみぬき「女権宣言」を書いたオランプ・ドゥ・グージュ、エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』よりも5年早く女性労働者の実態を出版したフロラ・トリスタンなどです。

 私たち人間は歴史の大河の中で生きています。ジェンダー視点で書かれた本書の女性史を学ぶことは、ジェンダー平等をめざして活動している人々を大きく励まし闘いの方向を指し示してくれます。

 また日本と世界の女性たちの闘いの歴史を学ぶことによってジェンダー平等の大切さを知る契機となる良書であり、女性はもちろん女性でない性の人にもぜひ読んでほしい一冊です。

 著者が「おわりに わたしたちの国で」で書いているように、「女にとって息苦しい社会は 男にとっても息苦しい社会 女にとって居心地のいい社会は 男にとっても みんなにとっても居心地のいい社会」なのですから。

(柏木新・話芸史研究家)

(東京民報2022年3月20日号より)

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