墨田区が改訂を進める「公園マスタープラン(プラン)」のねらいを学び、公園の本来の在り方を考える学習会が13日、開催されました。
再整備で公衆トイレ廃止も
主催した明るい革新すみだ区政をつくる会は、今年4月の墨田区長選挙にさねふじ政子氏を擁立し、区政問題を明らかにしてきました。そのなかで区内34カ所の公衆トイレを区が廃止する方針が急浮上。今年度末に改定予定のプランに明記されていることがわかりました。
園庭のない幼稚園・保育園に通う子どもたちや高齢者にとって、誰でも使えるトイレはなくてはならないものです。
さねふじ氏は「災害時の防災拠点としての役割も持つ公園のトイレ廃止は、住民福祉向上の観点からも受け入れがたい」とメッセージを寄せました。
公園プランを改訂
墨田区公園政策推進担当副参事の小林将之氏が、改訂が進むプランの見直しについて報告。小林氏は、同区都市整備部内で、公園再整備、プランの改定、民間活力の導入を担当しています。
社会情勢の変化を理由に、量よりも質を重視し、誰もが利活用できる公園に方針転換するため、2年前倒して行うと新プランの趣旨を説明しました。
日本共産党のとしま剛墨田区議が公園再整備について、区議会特別報告を行いました。
北十間川と隅田公園の再整備は、「浅草・スカイツリー間のにぎわい創出」を目的に進められています。東武鉄道が浅草一帯の収益増を目指していることから、同グループの意向が優先されるのではと懸念を示しました。
また、6月議会で栗原橋際公衆トイレ(横川5丁目)の廃止が、住民への説明なしに決定されたことを報告。手続きやトイレの在り方について、今後の議会論戦が重要だと語りました。
公園の縮小再編成
都市工学の専門家で、埼玉大学の岩見良太郎名誉教授が「公園はだれのモノ」と題し、新プランの問題点を解説。
墨田区の緑被面積(公園・農地・河川・樹林地などの総面積)は、東京23区でも21番目に少なく、現行プランでは、公園の役割を重視し「積極的に面積を拡大する」と基本方針を示していました。しかし、新プランでは、「再開発以外で公園の位置や面積を変えることは極めて困難」とし、既存施設の最大活用でにぎわい空間を創出する方針へと転換します。
また「区民と育てる公園」という基本方針は、「さまざまな人々~」と変更され、指定管理者などの民間事業者の参加が進められると指摘しました。
稼ぐ公園、全国で
さらに、維持・管理費用抑制のため、隣接・近隣公園は「エリア・グループ化」を行う方針です。岩見氏は、均等再整備し、総量を抑制すると推測。これによって区内138カ所の公園トイレは、半径250メートル圏内につき1カ所に集約され、34カ所が廃止されます。
アクセス不便地域が多い墨田区で公園を増やさないまま統廃合を行えば、住民の不便は明らかです。(図)
岩見氏は、「稼げる公園」づくりの官民連携が全国で行われていると指摘。2017年に改正された都市公園法により、Park‐PFI(公募設置管理制度)が導入され、都市公園において、公園施設の設置・管理を行う民間事業者の公募選定が可能になりました。設置許可や建ぺい率が規制緩和され、公園運営が一企業に委ねられる制度。神宮外苑や宮下公園の再開発にも同様の手法が用いられています。
岩見氏は、「企業が商品化する『民』ではなく、住『民』本位の公園を」と、再考を求めました。
東京民報2023年9月24日号より