被爆者らの悲願実らず 厚労省 原爆症認定見直し拒否〈2021年7月18日号〉

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、原爆症認定集団訴訟全国原告団、同全国弁護団連絡会は6月30日、同日行われた厚生労働省との第9回定期協議を受け、記者会見を開きました。

定期協議を報告する(左から)弁護団の中川と宮原、被団協の田中と木戸、原告団の綿平各氏=2021年6月30日、厚生労働省

 定期協議は原爆症認定問題を訴訟の場で争う必要がないよう「協議を通じて解決を図る」ことを課題とし、2010年に設置。以来、協議を重ねていますが、いまだに被爆者の願いは実現されていません。

 厚労省の発表によると、2020年度末の被爆者(被爆者健康手帳所持者)数は12万7755人で、最も多かった1980年度末の37万2264人から34.3%にまで減少。平均年齢は83.9歳となり、一刻の猶予も許されない状況です。

 団体側は、現行の認定基準で国から申請を却下された被爆者が、裁判では相次いで勝訴している事実を主張し、認定基準の見直しを田村憲久厚労相に要望。これまでも司法と行政の乖離を指摘し続けてきましたが、厚労相は科学的知見の重視を理由に、今回も認定基準の見直しに背を向ける姿勢を示しました。

政治決断こそ

 日本被団協の田中煕巳(てるみ)代表委員は、原爆症認定に関する定期協議は今回こそ決着をつけ、「被爆二世に対する援護の充実」や「被爆者の証言活動支援」など、新たな議論への展開を切望していますが、一向に進展しない現状に憤慨。「大臣が固執する科学的知見は、残留放射線の影響が無視された欠陥。事実に反する判断を下していることを自覚すべきだ」と指摘しました。

 木戸季市(すえいち)事務局長は「毎回、希望と絶望の間を行ったり来たりする。被爆者の小さな願いさえも受け入れられない。厚労省は被爆者に向き合っていないと痛感する」と、ため息交じりに発言。「我々が再び被爆者になる可能性より、次世代の人々が被爆する危険性のほうが高い。その意味で、現在に生きるすべての人の問題でもある」と述べました。

 全国原告団の綿平敬三副団長は「病気とたたかいながら80歳も間近になり、裁判にも振り回されている。人生どうなるのだろうと考えると耐えられない」と身体と心の苦しみを吐露。裁判を起こせない人、原爆症認定の申請を出せない人が多数存在する現実を語り、「我々が連名でたたかい、運動を続けるのは、これらの人たちの救済が目的。司法の判断、裁判の勝訴を国は受け止め、原爆症認定の審査に反映し、被爆者援護を広げてほしい」と声を上げました。

 団体側は、死と背中合わせに生きている被爆者に残された時間は少ないと強調。定期協議の進展には政治決断こそ必要であると、強く訴えました。

東京民報2021年7月18日号より

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