都内で唯一、深層地下水100%の水道水が飲める水と緑に恵まれた昭島市で進む巨大物流施設の開発計画に、住民が見直しを求める声を上げています。同市の北部、玉川上水に面して広がる「昭和の森ゴルフコース」(つつじが丘1丁目)の土地を、中国資本の物流不動産デベロッパー大手「日本GLP」(本社・港区)が取得。東京ドーム約12個分、東京ディズニーランドと比較しても有り余る約59万平方㍍の敷地に、24時間稼働の大規模な多機能型物流施設を建設する見通しです。
GLP社と市に対し、計画の見直しと撤退を求めているのは市民団体「昭島巨大物流センターを考える会」。9月17日に第5回学習会を開き、同月25日には日本共産党の山添拓参院議員が現地調査を行い、会のメンバーと同党昭島市議団も含めて懇談を行いました。
計画では、敷地内に物流施設6棟(高さ約35~55メートル)、データセンター9棟(約40メートル)、複合用地施設1棟(約20メートル)が建てられ、電力をまかなう変電所を隣接地に設ける予定。2024年4月に着工、28~29年に全体の完成を見込みます。
計画地の周囲は住宅街です。小中学校もあり、周辺道路は通学路として子どもたちが日常的に利用しているものの、片側1車線と狭く、渋滞で悩まされています。物流施設が完成すると、1日に約5800台ものトラック(約1100台は大型車を想定)が往来することになり、さらなる大渋滞は免れません。会の竹中裕事務局長は、「大型車の出庫ルートは2カ所しかなく、ピーク時は都道に出るまで5、6時間はかかるだろう。無謀な計画だ」と指摘します。
会は交通渋滞のほか、交通事故、排気ガスによる大気汚染や騒音・振動の発生、日照や風通しの悪化、緑被率の大幅な減少、コンクリートで覆われることによる雨水の浸透・地下水の涵養量の減少、希少な動植物が生息する玉川上水流域や、計画地内にある代官山緑地の環境破壊など、さまざま問題を危惧しています。
第5回学習会は、会の法律アドバイザーを務める三多摩法律事務所の田所良平弁護士が、「GLP昭島計画の法律問題~計画の縮小を求める法的根拠を中心に~」をテーマに講演。東京都環境アセスメント(環境影響評価)条例に定める手続きに関し、当初、GLP社は今年上期中頃に調査計画書の作成・協議を終え、公示・縦覧を予定していましたが、遅れています。