「三権分立、機能せず」 特定整備29号線 控訴審でも棄却判決〈2023年12月10日号〉

 東京都が防災や交通の円滑化を名目に進める特定整備路線・補助29号線の事業認可取り消しを国に求める行政訴訟の控訴審で、東京高裁(増田稔裁判長)は11月30日、原判決は相当であるとして、控訴人(45人)の訴えを棄却する判決を言い渡しました。原告の住民は「不当判決」として、最高裁に上告する構えです。

報告集会で判決内容を解説する串山弁護士(左から2人目)=2日、品川区

 補助29号線は、特定整備路線全28路線、延べ約25キロのうち、品川区大崎から大田区東馬込に及ぶ最長約3.5キロ、幅員20メートルの道路を新設する事業計画。住宅街や商店街、公園などを南北に貫き、約550棟が立ち退きを強いられます。

 原告団は2日、品川区内で報告集会を実施。原告団長の池戸アキコ氏は、「補助29号線の6事業区間の人が立ち上がったことが心強く、多くの支援者に励まされ、裁判を続けることができた。今後も住み続けられるために頑張りたい」とあいさつしました。

 控訴審での主な争点は、①控訴人の原告適格②都市計画決定の違法性の判断基準時③控訴人らが被る被害の軽視④交付金申請手続きの瑕疵⑤歩行空間の危険性。弁護団の串山泰生弁護士は、「地裁の判決内容を大筋で踏襲している」と指摘。「非常に形式的で見るべき点のない判決である」と批判しました。

都の立証不備救済

 結論に大きな影響をもたらす違法性の判断基準について、国と都は1966年の都市計画決定時を基準に判断すべきとしていますが、控訴人は2014年の事業認可処分時までの事実も含めて考慮すべきと主張。串山弁護士は都市計画決定時を基準とした高裁判決について、東京外環道の事業認可処分取消訴訟(2018年2月)の控訴審判決では処分時の基準が採用されており、「高裁で判断が分かれている」と矛盾を突きました。

 串山弁護士は住民被害の軽視をめぐり、高裁が行政側に甘い姿勢であり、「国の司法制度が行政訴訟の分野で、健全に機能していないことが示された」と強調。「三権分立の形骸化が懸念される」と述べました。

 控訴人は高裁で、都市工学の専門家で埼玉大学名誉教授の岩見良太郎氏の意見書を提出し、道路整備より建物の不燃化促進こそ防災効果として優れていることを証明。都は住宅不燃化のシミュレーションを行っていないにも関わらず、判決は意見書が「都市の不燃化構造化について、いつまでに実現できるかに関しての証拠が提出されていない」と主張を退けました。

 歩行空間の危険性に関し、29号線計画地は急坂や丘があるため、控訴人は都の建設局に立体的なパース図などを開示請求しましたが、都は拒否。判決では「安全性・利便性に相応の配慮がされることが見込まれる」と認めており、串山弁護士は「裁判所が都の立証不備を救済している」と非難しました。

 原告らは判決で明らかになった矛盾点や判例違反などを、上告申立理由にあげる方針です。

東京民報2023年12月10日号より

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