長年暮らし、思い出がたくさん詰まったマイホームに住み続けながら「自宅を活用し、短期間で資金調達できます」と魅力的な宣伝文句が盛んにインターネットやテレビなどで流されています。急な入院費などの資金需要や、年金額が少なくて生活に困窮する場合など、持ち家がある50歳以上がターゲットとされているようです。中には年齢のため銀行から正規の住宅担保ローンが組めないが、「子や孫に借金を残したくない」という思いにつけ入る商法も横行し、詐欺まがいの契約も増加しているとして、国もガイドラインの策定などを視野に入れているといいます。中野区の男性のケースを取材しました。
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住み続けながら資金を手にする制度は主にリバースモゲージやリースバックといわれる制度で、2つの制度は混同されがちですが似て非なる制度です(表)。リバースモゲージは市区町村の社会福祉協議会などでも窓口になっている「自宅に住み続けながら、主に銀行からお金を借りる」制度で、月々の支払いは利子です。他方、リースバックは民間企業(金融業や不動産業など)が主体で「自宅を売却し借りて住む」制度で、月々の支払いは家賃です。

リバースモゲージは契約者が死亡した際、契約は終了となり自宅の所有権は金融機関に移り借金はなくなります。しかし、長生きし融資額が自宅の評価額を超えると自宅を失うことになるので注意が必要です。
一方でリースバックは自宅の売却で資金を手にして、所有権が事業者に移った自宅に賃貸借契約を結んで住み続けることになります。その際、実際の評価額より低い金額で自宅を売却することも少なくありません。さらに賃貸借契約が通常の賃貸借契約ではなく、定期借家契約になっているケースが大半です。
定期借家契約は契約の期間が主に1年とされていることが多く、期限を過ぎると無条件で立ち退く契約です。契約時に「大丈夫です。住み続けられますよ」と言われたのに、「2年ほどで再契約を拒まれ、やむを得ず退去せざるを得なかった」という相談が国民生活センターなどに持ち込まれています。また「判断能力が低下した高齢の親が契約した」というトラブルも急増。同センターでのリースバックに関する相談件数は2019年度には24件だったものが、年々増加し、2024年には239件に急増しています。
リースバックで自宅を売却した際、宅地建物取引業法によるクーリングオフ制度が無条件で適用できなくなるので注意が必要です。



















