【街角の小さな旅】全国に広がった民権運動の揺籃の地 自由民権資料館と野津田・小野路〈2026年4月5日号〉
- 2026/4/5
- 街角の小さな旅
自由民権運動は19世後半、徳川幕府の倒壊と薩長連合を軸とする王政復古を旗印とした新政権のもとで、西欧列強諸国をお手本に政治・経済・社会制度、文化の刷新と資本主義社会への移行が急速度ですすめられるなかで、憲法制定、議会開設、地租改正、不平等条約の改定などを掲げて全国的な規模で展開された政治運動です。
なかでも武州(武蔵国)と相州(相模国)は板垣退助の出身地である土佐と拮抗する運動が巻きおこった地域で、なかでも町田の野津田・小野路は、幕末の横浜開港により西欧の文物や思潮がいち早く伝来したところで村野常右衛門や石坂昌孝などの活動家を輩出。武相の運動の中心となったところです。

同時に注目しなければならないことは、自由民権運動家の多くは尊皇派で占められ、「五日市憲法」をはじめ自由民権運動家の手で作成・発表された憲法草案には天皇統治の条文が不可欠のものとして掲げられていました。さらに板垣退助は国会開設や国民の「国政に対して意見を表明する権利」を掲げましたが、その本旨は国民の権利の保障、民主主義の実現ではなく、徴兵制(国民皆兵)の導入=国民に「命を掛けて国を守る義務」を課す代価として提案されているもので、西欧列強に対抗できる軍事態勢を実現するための方策であったのです。
自由民権資料館は野津田出身の村野常右衛門が若手民権家の育成のために開設した文武道場「凌霜館」の跡地に建てられたもので、全国的規模でたたかわれた自由民権運動、町田と神奈川の活動家や運動を紹介する資料を展示しています。




















