【書評】明日へ生きる希望が湧く 『山本周五郎 人情ものがたり 市井篇/武家篇』 山本周五郎 著

 この本は、良心的な心の糧になる本を出し続けている本の泉社が、山本周五郎の「人情ものがたり」を描いた作品を「市井篇」六作、「武家篇」九作に分けてオリジナル編集した短編小説集です。

 人生にはどうしようもない辛い事や悲しい事がたくさんあります。この十五作は共通してそんな庶民、武士とその妻女の心に寄り添い、その心根をしみじみと描き出しています。

本の泉社 2022年 1200円(税込) やまもと・しゅうごろう 1903年山梨県生まれ。1943年に『日本婦道記』で直木賞に推薦されますが辞退。1967年、63歳で死去

 市井篇の「おたふく」では、彫金彫り職人貞二郎の女房おしずのひたむきな愛。「ちゃん」では、安物が歓迎されている時勢から取り残されていても伝統の「五桐火鉢(ごとうひばち)」づくりをする重吉とその家族の貧乏生活とほのぼのとした家族の絆。

 武家篇では、困っている人々にやさしい武士と妻女を登場させています。

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