神宮外苑 工事開始に抗議広がる イコモス「見直し強く求める」〈2023年4月9日号〉

国会議連ら現地視察「樹木守られる保障ない」

 樹齢100年を含む多数の樹木を伐採し、超高層ビルなどを建設する神宮外苑の再開発で、神宮第2球場の解体工事が始まったのを受けて、文化財保護に取り組むユネスコの日本国内の諮問機関、日本イコモス国内委員会は3月29日、日本プレスセンター(千代田区)で記者会見し、「一日も早く、かつ全面的に見直す方向に転換させることを限りなく強く求める」との声明を発表しました。

 イコモスはまた、小池百合子知事に対して、都環境影響評価審議会で事業者が提出した報告書の「虚偽」についての説明と、資料提出の機会を求める緊急要請をしたことも明らかにしました。

現地視察で石川氏(左から2人目)の説明を聞く国会議員ら=3月29日

法の秩序どこに

 日本イコモスの石川幹子理事(中央大学研究開発機構教授)は、高さ15メートルに制限された風致地区に190メートルもの超高層ビルが可能となった経緯を説明。「法の秩序はどこにあるのか」と語りました。

 樹木の伐採数が一期工事3000本にとどまらず、1万本近くになると予測。「コモンズ(社会的共通資本)が危機に瀕している」とのべ、利益追求によって世界に誇る文化的景観が失われようとしていると指摘。ニューヨークのセントラルパークを市民運動で再開発から守った例をあげ、「たたかいが必要だ」と強調。その上で「外苑は志を持って作られました。私たちはこの志をこれから100年継承していきたい」と訴えました。

 共同で会見した超党派の国会議員でつくる「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」の船田元衆院議員は、これまでに2度、小池知事への面会を断られたと明かし、「一度立ち止まって、計画を根本的に見直してほしい」と述べました。

 再開発地の近隣住民でつくる「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の加藤なぎさ代表は、神宮外苑の将来と十数年続く工事による通学路の安全や粉じん被害など、子どもや生活に及ぼす影響への不安を語りました。

 会見後、石川氏は議員連盟のメンバーらとともに現地を視察。参加者はメモを取りながら説明に耳を傾けていました。日本共産党の山添拓参院議員も参加しました。

 石川氏は緑豊かな建国記念文庫の森や工事用のフェンスで囲まれた神宮第2球場の周辺、イチョウ並木などを歩き、伐採される歴史ある樹木や新ラグビー場の建設によるイチョウへの影響などについて説明。「樹木が守られる保障はなく危機感を持っています。森は宝、生きものと歴史の宝庫です。何とか(計画強行からの)流れを変えてほしい」と訴えました。

記者会見する(左から)石川、船田氏ら=3月29日、千代田区

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