コラム砂時計 軍事支出と地球温暖化〈11月14日号より〉

 ①中国、②米国、③インド、④ロシア─これは世界で二酸化炭素排出量が多い国の順位である。これとほぼ一致するのが軍事費支出額国別ランキングである。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の発表によると、2020年の軍事支出は、米国の7780億㌦を筆頭に、中国2520億㌦、インド729億㌦、ロシア617億㌦と続き、日本は491億㌦で9位である。

 英グラスゴーで先月末始まった気候変動枠組み条約26回締約国会議(COP26)では、途上国の温室効果ガス削減対策への支援が、先進国が約束した年間1千億㌦に届いていないことが議論になっているが、1千億㌦など、軍事支出のほんの一部に過ぎないことがわかる。

 COP26の首脳級会合では中国とロシアのトップがテーブルにつかなかったことが批判の的となったが、大きな問題は、締約国間で軍事活動が地球温暖化に与える影響について語ることが事実上「タブー」となっていることである。

 米ルイズ・クラーク大学のM・ランズバーグ名誉教授は、米陸海空軍・海兵隊が年間消費する石油量を挙げた上で「米軍は世界で最も大量の石油を消費する機関であり、単一の組織としては世界最大の温室効果ガス排出者なのだ」「軍国主義を抑制するための闘いは、地球にとっても、世界にとっても極めて重要なのだ」と指摘している。(「ビッグイシュー日本版389号」)

 「排出ゼロ目標」が2050~70年へ先延ばしされるなか、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんらが「政治家たちは、真剣に考えているふりをしているだけだ」と怒るのも無理はない。(阿部芳郎・ジャーナリスト)

(東京民報2021年11月14日号より)

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