アスベスト 飛散不安に誠意ある対応を 上板橋駅 山添氏ら再開発組合と懇談〈2023年8月13日・8月20日合併号〉

解体予定の建物の前で調査する山添氏(右から3人目)ら=1日、板橋区

 東武東上線の上板橋駅南口で進む再開発事業に伴う建物解体工事で、建材に使われる猛毒のアスベスト(石綿)の飛散防止対策を巡って、住民から不安の声があがっている問題で、日本共産党の山添拓参院議員は1日、現地を視察し、再開発組合(片桐正隆理事長)と懇談しました。日本共産党の吉良よし子事務所、徳留道信都議、いわい桐子板橋区議、山田ひでき前同区議らも参加しました。

 上板橋駅南口の再開発事業(地区面積約1.7ヘクタール)は、総事業費約415億円をかけ、駅前に約3900平方メートルの交通広場と川越街道とをつなぐ幅16メートルのアクセス道路を整備。地上26階と19階の店舗も入る高層マンション2棟などを建設します。2028年度の建物竣工を予定し、現在、既存建物73棟の解体工事を始めています。

 視察ではアスベストの取り扱いに詳しい東京土建板橋支部の後藤淳二氏らが案内。解体が予定される建物の周りには白いフェンスが張り巡らされ、アスベストの事前調査・資料採取、分析を行った日付、実施した業者と責任者などの掲示がありました。

 後藤氏は「分析調査された建材は建材全体の一部にすぎず、追加調査で含有が判明した実態もある」と指摘。「調査していない建材については明らかに含有がないと判断できるもの以外は、『含有あり』とみなして安全対策を講ずるべきだ」と訴えました。

 アスベストは2006年9月に法律で製造や輸入、使用など全面禁止されるまで、建築工事で保温・断熱や火災等から守るために吹き付けられた他、屋根材やボードなど様々な建材をはじめ、接着剤や塗料等にも使われました。このため、2006年以前の建物にはアスベスト含有の可能性が高いと見られています。アスベストは、人が吸入すると肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になります。建物の解体で飛散する恐れがあり、法律で事前の調査と除去が義務づけられています。

 後藤氏らは、再開発組合に対し、住民も安全性を確認できるように、「事前調査結果報告書」や「作業計画書」の閲覧など、情報公開を徹底するよう求めていますが、個人情報などを理由に拒否しています。

 組合との懇談で山添議員は「解体工事のアスベスト対策が不明確であり、飛散防止対策や事前調査報告書などの情報公開について、誠意ある対応をしてほしい」と要望。徳留都議は「アスベストの飛散は、住民や通行人、通学する児童など、多くの人がかかわる問題。人の命や安全を大事にしないと、取り返しのつかない事態を招くことにつながる。隠すようなやり方は、絶対にいけない」と訴えました。

アスベストとは
アスベスト(石綿)によって引き起こされる肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫は、発症までが長く、例えば中皮腫は平均35年前後の潜伏期間の後発病することが多いとされています。アスベストが原因の病気での死亡者は年間1万8950人と推計(2017年時点)されていますが、その多くは過去の建設工事に従事した労働者です。労働安全衛生法や大気汚染防止法、東京都環境確保条例などで予防や飛散防止が求められています。

東京民報2023年8月13日・8月20日合併号より

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