発がん性など人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)が、多摩地域の水道水源の井戸から広範に見つかっている問題で、自主的な血液検査に取り組んできた市民団体が9月21日、追加分の検査結果141人分を公表しました。検査結果は、多摩地域のなかでも自治体によって平均の血中PFAS濃度の差が大きいことを示しており、米軍横田基地が高濃度の地域に隣接していることから、同基地が重大な汚染源になっていることを、強く示唆するものとなっています。
検査に取り組んだのは、市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」。6月に、650人が参加した血液検査結果を公表しています。今回は、その調査の際に、参加人数が10人以下だった自治体を中心に検査に取り組んだもの。二つの調査を合わせると、多摩地域の30自治体すべてで、10人以上の検査がまとまりました。
多摩地域全域の調査がまとまったことで、地域による血液濃度のバラツキが明らかになりました。分析した4種のPFASの合計の濃度で、アメリカの学術機関が示した指標(20ナノグラム/ミリリットル)を超えた住民の割合は、国分寺市では93%、立川市では74%、武蔵野市で70%、国立市63%に及びました(表)。
他方で、東村山市5.9%、町田市5.9%、奥多摩町7.1%、日ノ出町8.3%、稲城市8.3%、檜原村10%、八王子市14%などは低い結果となっています。検査を分析した原田浩二京都大准教授は「西多摩、南多摩に比べて、北多摩の参加者の濃度は高かった」と指摘しました。
高濃度の自治体は、米軍横田基地の東側に集中しており、東京の地下水は西から東に流れるとされているため、原田氏は「横田基地が汚染源の一つになっていることは間違いない」としています。
その一方、平均濃度は低い地域でも、高い濃度になる住民もいて、「自治体内でも個人差が大きい」(原田准教授)といいます。
米国学術機関の基準は、今回の4種を含む7種のPFASの合計で20ナノグラム/ミリリットルを超えると、健康被害の恐れがあるとするもの。住民団体は、多摩地域でのPFASによる健康影響を見極めるためにも、国や都による大規模な検査を求めています。
東京民報2023年10月1日号より