*どう見る都知事選*ライター 和田靜香さん ひとり街宣〝私〞が政治の主人公に〈2024年7月21日号〉
- 2024/7/24
- 都知事選
都知事選(7月7日投開票)では、駅前や人が集まる場所で、一人や少人数でプラカードを持ち、訴える「ひとり街宣」が、都内や日本各地に広がりました。集計されただけでも、その数は延べ3千人以上と言われ、都内の駅のほぼすべてで行われました。蓮舫さん応援の、ひとり街宣(写真=本人提供)に取り組んだ一人、ライターの和田靜香さんに、都知事選結果をどう見ているか聞きました。
―選挙結果をどう受けとめていますか。
残念、ですね。過去の都知事選でも立候補した現職が負けたことはないとはいえ、蓮舫さんは対抗できる候補だったと思うので、すごく残念でした。もう一つはやはり、石丸伸二さんがあれだけ票を伸ばし2位に入ったことに驚きました。
―選挙の前後に、蓮舫さん自身や支援者に、バッシングのような報道、発信も見られます。
蓮舫さんが、選挙戦を通じて、強くて独立した女性像を示してくれた。しかも今回、ひとり街宣に象徴されるように、「私たちには声がある」と気付いた無数の女性たちが、蓮舫さんと並んで立つダンサーのように、フォーメーション(隊列)を組んで選挙を戦いました。だからこそ、それを脅威に感じ、ここで叩き潰したい人たちもいるのだと感じます。
―和田さんのひとり街宣の、取り組みは?
最初は、告示後すぐの時期です。中野区に蓮舫さんの市民選対事務所ができたので、その前で1回目をしました。声が出なくて、モゴモゴと「7月7日選挙があります」とかつぶやくだけでした。
そうしたら、それをSNSで見た友人が、自分もやりたいと言ってくれて。友だちがいると、私、結構調子に乗るんです(笑)。最初の声が出れば、あとは平気でした。
嬉しかったのは、私が中野通りに立っていることをSNSで知って、ウーバーイーツ(配達代行サービス)で働いている女性が、会いに来てくれたことです。「(ひとり街宣を)やってくれて、ありがとう」と話しかけてくれて。
中野駅周辺では、他にも何人も立つ人がいて、女性が多かったですね。話しかけると、みんな自分のことを真剣に話し出す。非正規で働いていたり、職場でパワハラに遭っていたり、切実な思いを持っていて、何とかしたい、蓮舫さんに何とかしてほしいと、やむにやまれぬ思いで路上に立っているんです。
もちろん、楽しいから立つ、でも良いんですが、やはり一人でプラカードを持って街に立つなんて、ただ楽しいだけでは、なかなかできません。
私自身も含め、路上に立った多くの人が感じたと思いますが、ひとり街宣って、立つことで、勇気が持てて、自信になるんです。生活が苦しく弱い自分だけど、こうやって声を持っていると、力と自尊心を与えてくれる。誰かヒーローみたいな政治家が出てきて「託す」のではなく、私がやるんだ、私が声をあげていいんだ、と思える。すごい気付きですよね。